春の過ごし方

 4月になり、学年の上でも新年度になります。この時期、6年生はどのように過ごせばよいのでしょうか。


 (1)家での学習時間

 家で、お子さんは何時間くらい勉強していますか。すべてを勉強に、とまでは言いませんが、毎日勉強を何時間かする、という勉強体力を早い時期につけておいたほうが良いでしょう。

 勉強体力とは、勉強に何時間くらい集中して取り組めるかという集中力を言います。たとえば、模試は1教科60分前後の制限時間ですが、この時間さえ集中できずぼんやりしてしまうお子さんもいます。入試は4教科で約4時間。この時間をしっかり集中できるお子さんもいます。

 夏休みはどの塾も夏期講習で、一日中勉強が当たり前の生活になります。それまでに、出来るだけ早く、勉強体力をつけておく必要があります。目標は2時間。このくらいの時間を集中できるようになれば、勉強の効率がぐんと上がります。逆に1時間勉強をするとしても、途中でペンを分解したり、指を触ったり、他のページを読み始めたり、といった状態で集中力が切れていると、勉強時間は長いけれど、何も残っていないということになってしまいます。

 では、勉強体力をつけるのに何か良い方法はあるのか、というと、一番オススメしたいのが入試問題を解くこと、です。塾では、入試問題は秋になってからとしているところが多いですが、志望校以外の入試問題はこの時期から使っても構いません。入試問題は最低でも50分はかかるように設計されています。志望校とは全く関係のない中学でよいので、集中力を鍛えるために取り組んでみてください。

 このときに注意してほしいのは、お子さんの持っている偏差値-10~-5を目安にすること得意科目にすることです。特に算数の場合は、難易度に注意しないと、考え込んでいるうちに集中力が切れます。国語の場合は、記述問題が多すぎたり、問題の難易度が高かったりすると、こちらも集中力が途絶えます。東海地区での受験を考えておられるなら、関東・関西の中学の入試問題を与えるのも良いと思います。なお、社会は、得意なお子さんはすぐに終えることが出来るので避けたほうが良いです。ここでの目的は、勉強体力をつけることで、入試問題に慣れるとか、お子さんの現在位置の把握とか、知識の確認は副次的なものです。

 入試問題を解くことの意図は、「この問題は分かる!」という状態で問題をどんどん解いていくことです。気がついたら時間が来た、という状態なら、勉強体力がついています。


 (2)日々の学習

 まだまだ、どの塾もインプットが中心となる授業です。入試問題への実践的な対応というより、範囲が定められていて、そのカリキュラムをこなしていくのがこの時期の学習です。これまで学んだところが定着していないことが不安になる時期でもあります。しかし、ここで前の単元に戻って、というのはあまり現実的ではありません。6年生になったばかりで、まだまだ受験生としての意識も覚悟も希薄です。外で遊びたい、という気持ちをこの時期から抑え込んで、全て勉強に向けるというのは、良い態度ではありません。

 志望校の偏差値に足りない、あといくつ上げなければならないということは、不安要素の筆頭ですが、だからといってこの時期から必死に取り組むと、受験まで持ちません。この時期には、自分で勉強するという時間がほとんど無い受験生の方が大多数ですし、それで良いのです。

 ただし、少しずつ生活を変えていくようにしましょう。テレビを見る時間はこの時期から減らしていきたいものです。夏になって一気に変えようとすると、そちらの方がエネルギーが要ります。家に帰ってから、寝るまでの時間をどのように使うのか。すべてが勉強ではなくて良いので、まずは、少しずつ勉強の割合を増やしていきましょう。

 塾から与えられる課題の量は、浜学園>名進研>日能研の順に多くなっています。特に浜は宿題の量が非常に多いので、これをこなすだけで精一杯になりがちです。多少、家庭で減らすことも必要です。名進研・日能研は、この程度の宿題であれば毎週しっかりとこなしていってほしいです。


 (3)家族の時間

 そろそろGWが始まる時期でもあります。GWも勉強の予定でみっちり、というのは先程言った通り、やめたほうが良いです。せめて一日くらいは家族でどこかへお出かけしてください。子供だけで遊ぶ、イベントに参加するなどの時間が必要です。6年生になってカリキュラム上は3ヶ月が経過しています。勉強に追われていたお子さんには、目に見えない疲労がたまっています。また、夏期講習中にどこかへ遊びに行くという時間はほとんどありません。夏期講習の密度は、日能研=名進研>浜学園となっています。日能研は本当に塾に行くだけの夏休みになります。ですから、夏のことも考えてGWを有効に活用してください。

 この時期に遊びに行ったり、家族の時間を持ったりすることは、時間を無駄にすることではなく、必要な休息です。


 (4)苦手科目について

 勉強に根を詰める時期ではありませんが、苦手科目への対処はしておいたほうが良いです。特に国語は、短期間で伸ばせない科目です。機会があれば、国語の学習についてさらに詳しく書きたいと思いますが、今のうちから着実に力を蓄えておく必要があります。

 また、漢字・計算については、早めに克服してください。漢字は覚えれば良いと考えがちですが、単なる丸暗記ではすぐに記憶から抜け落ちていきます。漢字の意味・言葉の意味から、時間をかけて考えていくようにしてください。

 計算ミスについては、毎日計算の練習を繰り返すことが大切です。その際に一つアドバイスできるとすれば、計算ミスをしたものについて、自分の書いた式のどこに誤りがあるのかを探すようにすると良いです。入試のときには計算するスペースが少なく、もう一度計算し直す余白が無いことのほうが多いです。もう一度計算をやり直すのではなく、自分の式の誤りを見つけるという方向でやり直しをしてください。

 社会の知識については、インプットの時期ではありますが、それぞれの分野ごとのつながりが他の科目ほどしっかりとしていません。その分野だけは得意にする、というようなことが比較的可能な科目です。まずは、きっちりと基礎知識を覚えるというところからスタートしてください。

 

 この時期の考え方として、勉強に必死になる必要はないが、知識系のものや、克服までに時間がかかる科目を後回しにしないことが大切です。特に知識は、秋以降に詰め込めば良いと考えられがちですが、それは無理だとはっきりと言っておきます。夏期講習から入試までの時期は、みなさんが思っておられる以上に忙しいですよ。

 そして、この勉強に対するアクセルとブレーキを踏むのは大人の役割です。お子さんの現状を把握して、この時期に必要なことに是非取り組んでいただければ、と思います。

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