合格するために(東海中学)

 東海中学に合格するために、どんな力が必要なのでしょうか。


 (1)点数の目安

 東海中学の合格者最低点は210点~260点です。最近(2017年、2018年)は250点前後となることが多くなっています。平均して6割を少し超える程度ですが、重要なことは、4教科でこの点数を集めるという意識です。すべての科目で6割以上を取ろうとすると、とても大変です。高得点を取らなければならない科目と、最低限の点数を取れれば良い科目を明確にしましょう。

 (2)各科目の戦略

 国語:ある程度点数を取りたいが、高得点は狙いにくい科目。

 国語は、難しい問題もありますが、全く歯が立たないということにはなりにくい科目です。出題傾向がある程度決まっており、点数の取りどころを押さえて、60点前後を目指したいところです。

 点数の取りどころは、漢字(10点/12点)、自由記述(6点/10点)、慣用句(3点/3点)などです。ここまでで20点を確保することを目指したいです。(左は目標点数、右は予想配点)

 選択問題は各4点、記述問題は6点~10点の配点があると考えられます。選択問題は答を決めるのが大変難しい問題もあるので、記述問題でどこまで点数が伸ばせるかが勝負です。記述問題の中には受験生のほとんどが正解できるような基本的なことを問う問題があります。こういった問題を見つけて、そこで点数を稼ぎましょう。(記述問題の対処法は以下↓)


 算数:最低限の点数を取りつつ、得意なのであれば高得点を狙っていく科目。

 東海中学の算数はとても難しいです。偏差値帯が同じ南山女子・滝に比べて、難問が多く含まれています。算数が苦手な受験生であれば、点数の取りどころを押さえて、40点以上を目指しましょう。

 東海の点数の取りどころは、計算問題、記述式の問題、各大問の(1)です。特に記述式で解答する問題は、問題としては簡単です。ここだけは何があっても完答を目指しましょう。計算問題も正解が必須です。さらに、各大問の(1)は実は基本的なことを聞いていたということが少なくありません。しかも、配点は(2)以下と同じだと考えられます。極端な話、(1)だけを全問正解できれば50点近くになります。


 国算を合わせて100点以上取れると、合格の可能性がぐっと高まります。どちらか、得意な科目で何点くらい取れるのかを目安に、もう一方の苦手科目で取らなければならない点数を決めましょう。なお、名進研に通われているお子さんの場合、点数が高く出ます。これは、EX講座等で類題を扱っており、解き方を知っている問題が含まれているからです。10点位は下がると思っておいたほうが無難です。合計120点を目指してほしいところです。


 社会:高得点を可能な限り目指す科目。

 社会は毎年、合格者平均点が7割を超えており、点数の取りどころです。満点をとるのは難しいですが、80点程度までは誰でも狙えます。範囲も、公民分野の出題がほとんど無く、地理と歴史をどこまで詰められるかが勝負です。記述式の問題も出題されますが、内容は塾で聞いたことがあるものばかりです。正解になるために必要なキーワードを見極めて解答しましょう。

 なお、地理・歴史共に漢字で解答することができるかどうかが鍵になることもあります。用語は全て漢字で書けるようにしておきましょう。


 理科:高得点を狙いたい科目。

 理科は、同じ理系でも算数に比べて優しい印象です。特に、天体やてこ・てんびんなどは、塾で習った解き方がそのまま使えるものが多いです。また、科学分野は表や図を読み取って法則を探せば良い問題が多く出題されています。生物分野では知識を問う問題もありますが、こちらも塾でしっかり習うものがほとんどです。

 

 社会理科で150点を目指しましょう。というより、社会理科でこの程度の点数が取れないと、合格の可能性が激減します。


 (3)記述問題の対処法

 東海中学では20字~80字の記述問題が複数出題されます。これらの全てに解答する必要はありません。「なにか書けば点数がもらえるかもしれないから」とすべての解答欄を埋めようとすると、逆に点数が取りにくくなります。答は分からないけど、傍線付近の言葉を使って解答を作ろう、というのはやめたほうが良いです。国語の採点をしていると実感しますが、解答になること以外のことを書いている答案は、ばっさり不正解にしたくなります。

 あやふやな答え方をするのではなく、自分が分かったことをぶつける方が部分点に繋がりやすくなります。

 東海中学の国語の最高点は満点どころか90点代にさえなりません。算数は毎年満点を取る受験生がいるのに、です。ですから、すべてが答えられると思わないこと。記述問題の中には簡単なことを聞いているものもたくさんあります。そういう問題でしっかり点数を集めていくことがとても大切です。

 算数もそうなのですが、国語も全体の時間配分の練習がカギを握ります。時間内に、自分が答えられるところでしっかり点数を集める練習をすることが大切です。また、空欄の多い解答用紙を見ることに慣れてください。国語は一教科目です。国語で失敗したと思うと、他の科目に引きずってしまいます。空欄の多い解答用紙でも、しっかり答えられていれば60点程度に届くということを自覚して、この程度埋められていれば国語は大丈夫だ!という自分の目安を作っておくことが、受験全体を通しても大切です。逆に、時間切れで答えられない問題があった・・・というのは大きな不安に繋がります。制限時間内に、入試本番と同じ難易度の問題を、しっかり最後まで解き切るということを大切に、問題演習を行ってください。

 自由記述は例年1問(2問の場合が1年だけ)出題されています。自由記述というと、なにか書けば点数が・・・と期待したくなりますが、これが意外に大変だということを知っておきましょう。

 

 (4)自由記述の対処法

 自由記述が意外に難しい理由その①は、何を答えてよいかわからない問題が出題されることがあるということです。特に、東海の自由記述は受験生の体験・見聞を元に、本文と同じようなことを具体的に書かせることが多いのですが、そんな体験をしたことがない!という問題を出題することがあります。

 その②は、意見の書き方にはルールが有ることを知らない受験生が多いことです。意見記述の問題は多いわけではありませんが、塾でもほとんど扱いません。そのため、意見を書く時に、どのようなことを、どのような順番で書けばよいのかが分かっていない答案になりがちです。


 まず、①について。塾では、体験を勝手に作りなさい(創作しなさい)と指導することが多いですが、特に男の子はこれを苦手にしていることが多いです。創作には下地が必要であり、普段からそのような考え方をしているかが重要になってきます。

 もし、受験までにまだ時間があるのでしたら、説明文を読む時に、自分の体験にひきつけて読むということを試してみましょう。例えば、「欲望にだけ従っていては段々堕落していく」という文章を読んだ時に、「ああ、自分の日曜日はこんなふうになっているな・・・」とか、「食べ過ぎのことを言っているのかな?」といった具合です。難解な文章も分かりやすくなりますし、是非実行してみてください。

 受験までに時間がないのであれば・・・慣れるしかありません。ただ、自由記述を出題する中学は東海地区ではあまり多くありません。フェリス女学院が説明文(時折物語文)での意見・自由記述を出題していますから、こちらを使うのも良いでしょう。その際には、必ず解答を作ってください。分かっていることと書けることとは別の問題です。


 次に②について。意見記述にはルールがあります。ルールを型にして、その型(フォーム)を繰り返し練習しましょう。意見記述のフォームは

 A:私は筆者の考え方は正しいと考える。なぜなら・・・・からである。

 B:○○は・・・・であるから、私は筆者の考え方は正しいと考える。

のどちらかです。東海が出題する80字程度の意見記述で、反対意見などを考慮する余裕はありません。また、「一文で」という指示がなければ、途中で文章を区切ってしまって構わないということも知っておきましょう。


 最後に。自由記述はある程度準備をしておくことが大切ですが、空振りに終わることもあります。その場合には、「この年の出題は難しかったんだ」と考えて、無理に書かないようにしましょう。前に書いたとおり、答えなければならないことからズレていることをどれだけ書いても、点数は入りません。

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